君色の音と私の恋



5年間、会うことはなかったけど。


私が落ち込んだとき。



挫けそうになったとき。



間瀬くんはメールや手紙で励ましてくれた。



そして新曲が出る度にCDを送ってくれた。



「今日、東京に来ること、言ってくれたら良かったのに」



拗ねた口調で、私の首に掛かったヘッドホンを弄る間瀬くん。



「ごめん」



早く間瀬くんに伝えたい気持ちと、



もしかしたら私が東京に来ること、迷惑なんじゃないかな?って不安な気持ちが入り交じって、



今の今まで伝えることができなかった。



古ぼけたヘッドホンを撫でていた間瀬くんの指先が、私の頬に触れる。



「やっと会えた」



目を細めて、優しく微笑む間瀬くんに、心臓がぎゅっとなる。



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