君色の音と私の恋



「ねむ……」



朝、布団の中で丸くなる。



今日も単調で退屈な一日が始まる。



気合いを入れて布団から出て、ベッドサイドにあるスマホを手に取ると触れる小さな塊に、



昨日の間瀬くんとのやり取りを思い出して、胸がぽかぽかと暖かくなった。



キッチンに無造作に置いてある幾つかの菓子パンの中から一つ手に取り、袋を開ける。



パンをかじりながらテレビをつけると、そこには世界のどこにあるかも知らない国で起きた、テロ事件のニュースをしていた。



『死亡者2名』



アナウンサーの声に、今回は被害者が少ないな。なんて無感動に思う。



昨日のテロの死亡者数は17人。



その前にあった災害では50人。



自分の周りは『死』なんて遠い存在なのに、テレビには『死』が溢れていて、感覚が鈍る。



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