君の未来を愛していこう
「よかったじゃん。里央が望んでる未来が叶うっていう予兆かもな。里央の未来も、きっといい未来だ」
「ふふっ、そうだといいなぁ。花びら掴むためにもだいぶ努力したんだし、この頑張りは報われて欲しいかも」
「努力って……。適当に腕振ってたようにしか見えなかったけどなぁ」
「ひどーい! 私、あれでも必死に頑張ってたんだからね!?」
「はいはい。里央は頑張りました。ははっ」
「絶対そう思ってないでしょ? 笑ってるし……!」
偉い偉いと言いながら、拓人は私の頭を優しく撫でてくれた。子ども扱いされているような気もするけど……。
優しい微笑みを見ていたら、そんなことはたちまちどうでもよくなる。
……ねえ、拓人。
君が言ってくれるなら、きっとじゃなくて絶対に、私の未来はいいものになってくれると思うんだ。
私の未来も、拓人のおかげできっと明るくて幸せなものになるね。
手のひらに乗せていた花びらが、一際強く吹いた風によってさらわれた。
でもそれは、お別れじゃない。この場所からの旅立ち。望んだ未来へ向かうための第一歩だ。
「……さて、そろそろ帰るか」
「そうだね。帰ろっか」
青空の彼方に吸収されていった花びらをふたりで見届けてから踏み出す。
……それと同時に握られる、私の右手。力強くて温かいその温もりは、もちろん君のもの。
自然と目が合って同時に笑顔になる私と君の未来なら――絶対に、途切れたりしないって信じてるよ。
君が隣にいない未来を超えて、再び私が望んでいるようなふたりが一緒の未来が訪れるとしたら。そのときはどうか、今日の思い出話をしよう。
素敵な未来を作り出そうと、懸命に自分たちの未来を愛そうとした、君と私の未来の欠片の話を――。
【END】