大きな背中と…

『綺麗な満開の花を咲かす木』

そういうとら「てれるな〜」と、頭をガシガシかく。

『褒めてない』

そう、綾人は綺麗な木。

「…秋乃ちゃんわ?」

そう聞かれ

『秋乃でいい』

私は呼び捨てなのに

ちゃん付けなんてなんか気持ち悪い。

「じゃあ、秋乃わ?」

空を見上げて

『枯れ木…』

そういうと、またあの悲しそうな目で

「枯れ木?」

と、きかれる。

『そう。枯れ木…もう、花を咲かせれない…枯れた木…』

そういい、目を瞑る。

すると、ギュッと人の体温が私を包み込む。

『ちょっ!』

いつものように殴ってやろう。そう思ったのに

男の力は叶わない。

いつもの綾人じゃない。

「いつから…」

『ごめ、聞き取れなかった』

いつから…、そのあとが聞き取れなくてもう一度聞き返すと

バッと肩を掴まれて

「いつから、…いつから、秋乃は死を望んでいるだよ……?」

そう、悲しそうな顔で言う彼。

死を望んでいる?

『なに、言ってんの…』

「だって、秋乃は…「綾人〜、秋乃〜!!」」

だって、秋乃は…なに?

私は何?

言葉をマリに遮られた綾人はバッと手を離し

「マリッちなにーなにー?」

と、向こうに走っていく。

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