大きな背中と…
6月
季節ももう代わり少し蒸し暑い季節がやってきた。
「秋ちゃん、大丈夫??」
『ん?なにがー?』
体育の時間
雨をぼーっと眺めていると
綾がそんな事をきいてくる。
「最近秋ちゃんよくぼーっとしてるから」
図星を疲れてしまい少し俯きがちになる私に笑顔を向けてくれる。
『ぅん、…確かにぼーっとしてるかも…』
「…何かあったんなら言ってね?相談に乗るしね?」
そぅ、可愛い笑顔で言われる。
綾にはほんと叶わない。
『ありがと、綾。…それと、ごめんね。ちゃんと言うから…』
「待ってる!」
心の中で感謝をもう一度思いながら
また、雨を見る。
「綾、ちょっといいか?」
後ろから声が聞こえふりむくと
「裕太??」
綾の好きな人だ。
『行っておいで綾』
「ぅん」
そう言うと素直に裕太についていく綾。
一人になりすっと立ち上がる。
『…明里ちゃんいるかな』
そう、思いこっそりと体育館からぬけだして
保健室に向かう。
『あーかーりーちゃーん』
そう声をかけても返事は返ってこない。
職員室にでもいるのかな?
ベッドにゆっくり腰をかけて
また、窓の外をみる。
最近夢をよく見る。
少し前まではあまり見なかった夢。
彼…綾人と出会ってからだ。
あれから、なるべく絡まないように
避けてきた。
綾人と出会ったことで
彼が自分を忘れるなと
夢を見せてくるのではないかとおもう。