大きな背中と…

「秋乃ちゃんにもいつかいい人ができるわよ」

そう、頭をポンポンとしてくる明里ちゃん。

『できるかな……、でも、今はそーゆうのいいかな…?』

そう言うと少し悲しそうにする明里ちゃん。

あの日から私の時は動いてない。

あれからもう、ずいぶんと時が経ったのに

つい最近の出来事に感じてしまう。

それに、あの日から私が見るものは

色をうつさなくなった。

『春……、桜ってピンクだっけ……』

そう、呟くとまた悲しそうな目をする明里ちゃん。

「秋乃ちゃんが好きな季節とかものとかって何?」

そう、柔らかい笑みで聞いてくる。

少し間が空きゆっくりと口を開く。

『冬の…雪が好き…』

そう言うと顔を覗き込み「どうして?」と、訪ねてくる。

『雪はね、唯一綺麗に色がわかるの。…真っ白でふわふわしてて……』

まるで、君みたいだ。

真っ白でふわふわしててキラキラで

いつだって優しくてかっこよくて

「ねぇ、秋乃ちゃん。……まだ、苦しい?」

そんなことを聞いてくる明里ちゃんは

私の全てを知ってる唯一の人。

私はバッと立ち上がりくるっと回る。

『そろそろいくね!またくるね!』

と、笑顔で保健室をでた。


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