僕の命が尽きるまで
スプーンを置いて、彼女の左手を握った。
「1人ぼっちなんて……思わないでよっ!1人じゃ、ないから……」
「優月くん……?」
「もうすぐ僕は、死んじゃうけど……でも、もう冬菜ちゃんは1人じゃない……」
「……」
僕の馬鹿。
ここはもっと気の利いた事を言うべきなのに。
上手に言えない。
ただ、彼女に1人ぼっちじゃないって事を必死に伝えたくて。
ありきたりな言葉しか出てこない。
「辛い時とか、甘えたい時とか……頼ってよ。僕はちっぽけだけど、冬菜ちゃんのためなら何でもする。力になるためにどんな事だってするから……!」
僕が一方的に握ってた冬菜ちゃんの手が、微かにだが握り返してくれた。