ボーイズロード ―first season―
そうやって強気なとこがほんとに腹立つんだよな。

「待てって」

俺は駆け足で離れていく茜を追いかけて、ぐっとその腕をつかんで引き寄せる。

「痛っ」

その瞬間茜はバランスを崩し、俺にもたれる格好になってしまった。

「わ、危ね」

俺はとっさに茜を抱きかかえた。


「痛いって、離してよ」

うるせーな。そんなに睨みやがって、ほんとにお前はなんなんだよ。


そんなに俺が嫌なのか。

でも嫌がったところで、俺が力を入れたら動くことすらできないくせに。


抵抗する茜の両手を押さえつけて、そのまま後ろから抱きしめた。

もうこの瞬間から自分が何をしているのか、考えられなくなっていたんだ。


ただ心臓だけがざわついているから、それごと押さえつけるように腕に力を入れる。

自分の気持ちをごまかすように、ぐっと固く目をつぶった。

さっきまで抵抗していた茜の力が抜けたみたいだ。


「……ニーナ?」

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