ボーイズロード ―first season―
「若、今日チャリ?一緒に帰ろう」

「あれ、珍しいね。部活休み?それならポテトでも食べて帰ろうか」

この日は職員会議ですべての部活が中止だった。


中学が一緒の若とは、帰る方向もだいたい同じ。

普段はあまり一緒に登下校できることがないし、中学の頃は仲が良かったわけじゃないから、一緒に帰るのは実はこれが初めてだった。


少し遠回りして、二人でデパートのフードコートに入った。

「あのさ、若のアドレス知りたいって子がいるらしいけど教えてもいい?」

こないだの彼女のメールの中から、若のアドレスが知りたいと言っている子がいることを思い出したのだ。


「別にいいけど……誰?琢ちゃんの友達?」

「いや、友達ではないんだ。誰かもわからない」


言ってる途中で自分でもおかしいと思ったんだよね。


「うーん……琢ちゃんには悪いけど、そんなわけわかんない人には教えられないかな」


まあ、普通はそうなるよね。


「その子が琢ちゃんの友達なら俺も信用できるんだけどさ、知らない人だとちょっと。

一度会ったりしたらまた違うかもしれないけど」

< 114 / 406 >

この作品をシェア

pagetop