ボーイズロード ―first season―
「賢太くん!」

帰り道の途中で声を掛けられた。

あれ、こいつ誰だったっけ……見たことはあるし、クラスの奴だが名前を思い出せない。


「梅木だよ!梅木蒼!クラスメイトの名前くらい、いい加減覚えて」

「ああ、すまんな」

そういえば、いたなこんな奴。琢と同じ吹奏楽部の女子だった。


「今日部活ないんだ。一緒に帰ろうよ」

別にいいけど、めんどくさい。

梅木は自転車を押していた。話したこともない俺と帰ろうとするなんて、度胸あるのか、変わり者なのか。


若月といい、最近はずいぶん声をかけられるんだよな。

あれだけ一人でいたのが嘘みたいだ。

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