ボーイズロード ―first season―
「なんてほんとはね、カモフラージュっていうか、皆にもらってたら本命のボタンも緊張しないでもらえるから」


え、本命?誰だよそれ、聞いてない。なんで今になってわざわざ俺に言うんだろう。


だけどそっか、そういうことを言うってことは、その本命は俺じゃないってことだよね。


早とちりでずっと今まで勘違いしてたなんてな。最後の最後で言わなくてもいいじゃん。

告白なんてしなくて正解だった。いや、できなくてが正しいんだけど。


「若ちゃんと同じクラスで楽しかった。高校でも元気でね」

「……うん、酒井も元気でね」


なんとなく中途半端な感じで俺の中学生活は幕を閉じた。

きっとこれで酒井には会うことはなくなるんだろうし、自然とこの気持ちも消えていってしまうんだろうな。ま、人生そんなもんだよね。


……明日は合格発表だ。


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