ボーイズロード ―first season―

♢2章 携帯電話

「お母様、一生のお願いがございます」

「はいはい、あんたの一生は聞き飽きたわよ。まったく、何回人生があるのかしらね」

「これがまじで最後！俺に携帯電話を買ってください！」


若月家、ある日の晩ごはん。

春休みの間は、ずっと母さんの機嫌を伺っていたけど、お願いするならゼッタイ今日だと思っていた。


ていうか、もう多分俺だけなんだよ。今どき携帯持ってないのは。


高校生活を楽しむためには、携帯って必須じゃん？

中学校の頃に持ってなかった連中も、合格祝いで春休みの間に買ってもらうって言ってたし。


今買ってもらわないで、いつ買ってもらえるんだよ。


俺は必死に土下座した。