ボーイズロード ―first season―
次の週、今度は一人で『木もれ日』に行った。

コロッケの味にすっかり魅了された俺は、おばさんの料理を作るところを間近で見たかったのだ。

それと、あるお願いをしに。


「あら、いらっしゃい。また来てくれたのね」

「ねえおばさん。俺をバイトで雇ってくんない?」


俺の急なお願いに、おばさんは一瞬戸惑ったようだ。

「隼、ありがとう。だけど正直いって人を雇えるほどの余裕がないのよ。ごめんね」


「給料はいらないよ。ねえ、手伝いならどう?

俺、ここが気に入ったんだよ。

皿洗いとかオーダーとか俺がやったら、おばさん料理に集中できるでしょ?」


「それはそうだけど……お母さんはなんていってるの?」


「母さんなんて大賛成だよ。社会勉強のつもりで行きなさいって。多分明日あたり、おばさんに電話がいくと思うよ」

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