ボーイズロード ―first season―
空いてるとはいえ、そろそろ休憩を終えないとだめかな。

「ま、ゆっくりしてってよ」

俺が立ち上がった瞬間に茜がこっちを見た。ちょうど会計でレジにいたのだ。

目が合ったわけではないが、俺の視界の隅でこっちを振り返ったのがわかった。


俺を見たのではない。多分、立ち上がる時の椅子の音に反応しただけだろうな。


これは俺の予感だけど、きっと茜はこの店にはもう来ないと思う。


「ありがとうございました」


茜の食べ終えた食器を片付ける。

今まで動揺なんてしなかったはずなのに、なぜかわからないけど今になって手が震え出していた。

< 169 / 406 >

この作品をシェア

pagetop