ボーイズロード ―first season―
「ねーねー、賢太くーん。暇ー」

放課後になると琢は部活へ行き、ニーナはバイトがあるから早めに帰った。

そうなると残っているのはもちろん若月だ。


「俺は帰るぞ。お前も帰れよ」

「ニーナのとこ寄ってかない?」

「金ねえぞ」

「そっかー、今日500円の日じゃないもんねー」


そういえば思い出した。


「若月んちって立堂近かったよな」

立堂高校はハセの通う高校だ。

実はあいつはこないだのメールで、部活がつまらない、辞めたいとぼやいてたのだ。


今度会う約束をしていたが、部活人間だったハセが部活をつまらないだなんて、心配とまでは言わないものの、多少なりとも気にはなっていた。


「もしかして野球部?一緒に見に行く?」


立堂の野球部は甲子園には程遠いものの、この地域ではダントツに強かった。

若月が立堂の野球部と、元野球部の俺を繋げることも不自然ではなかった。

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