ボーイズロード ―first season―
「前みたいに一緒に帰ったり、寄り道したり、もうできないんだ」

だから何?頭が回らなくなってきて、胸の中だけ落ち着かなく嫌な感じでざわざわしている。


「あのさ、もしかして勘違いしてる?俺、さやかの事そんな風に見てないよ」

つよがりだけど、動揺したとこ見せたらこっちが負ける気がして。


「え、あ、そうなんだ」

どうしてさやかが困った顔してるの。

もしかして俺にその気がないこと、がっかりしてるわけじゃないよね?


だけどさやかがそんな顔をするから、一瞬だけでも可能性を感じてしまったじゃん。

諦めるより、その彼氏って奴からさやかのことを奪ってやりたいって思ってしまったんだ。


「まあ、とにかくわかったよ。また明日ね」


俺はすこし苛立ちながら、そこから逃げるように自転車を漕ぎ出した。さやかがいつまでも俺のことを見ているような気がした。

< 191 / 406 >

この作品をシェア

pagetop