ボーイズロード ―first season―
「あ、ねえねえ若ちゃん。ここ空いてるんじゃない?静かすぎる図書室よりいいかも」

石川が立ち止まったのは視聴覚室の前だ。多分無意識に言ったのかもしれないけど。


だけど、俺はどうしても余計なことを考えてしまう。

……あのさ、ここ誰もいないのにいいの?俺ら二人きりになっちゃうけど。


「ほら、鍵空いてる。多分ここも使っていいんだよ」

そんな俺の心境に気づかないままに、石川は扉を開けて視聴覚室に入っていった。


……やば、どきどきしてきた。

ここで俺らがいい感じになる妄想だけを膨らまし、俺も石川に続いて入った。


窓側にかかっている暗幕のおかげで教室が暗くなっていて、妄想はさらにやましい方向に膨らむ。

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