ボーイズロード ―first season―
「ねえ、俺と二人でいこっか?花火」

「ううん、新名くんと約束してるんでしょ?

私はいいよ。愚痴聞いてもらうだけでよかったから。ほんと、ちょっとすっきりしたし」


「だめだって、行くよ」


花火大会が行われる河川敷は、さやかの家から遠くない。

部屋の中で、聞きたくもない花火の音を一人で聞いているさやかを想像してしまったんだ。


嫌でも考えちゃうでしょ。先輩と彼女のこと。

さやかには音しか聞こえない花火を、二人は寄り添ったりなんかして見てるんだ。


……だけどそれは、俺がいつも考えていることと一緒だったんだ。

最近さやかからのメールのない日は、彼氏と一緒にいるんだなって思うようになってしまった。


そう思うたびに、切なくて胸が張り裂けてしまいそうになるんだ。

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