ボーイズロード ―first season―
公園に着くと、浴衣を着ていたさやかが待っていた。髪型もいつものポニーテールとはちょっと違って、きれいにまとめられていた。

提灯に照らされたその姿が、さやかをますますきれいに見せてくれて、思わず見惚れてしまう。


「下駄に慣れてなくて、歩くのゆっくりになるけど」

「大丈夫だよ、俺が合わせるから」


二人で縁日を回る。

さやかがクレープを食べるのが下手くそで、子供みたいにほっぺたにクリームをつけている。

笑いながらそれを指先で拭ってやると、恥ずかしそうにしながらも結局叩かれてしまった。


焼きそばやお好み焼きも二人で半分ずつ食べた。さやかは紅しょうがが嫌いみたいで、全部それを俺の前に次々と放り込む。


人混みで会話はあまり聞こえなかったけど、雰囲気だけでも十分楽しい。


時折さやかがきょろきょろして、誰かを探しているようだった。でもそれには気づかないふりをした。

< 297 / 406 >

この作品をシェア

pagetop