ボーイズロード ―first season―
「あ、もう花火始まるね」

芝生の上にはすでにたくさんの人がいた。ブルーシートや椅子を持参している人もいる。


「ここ、座ろっか」

さやかが芝生の上にハンカチを引いて、その上に体育座りをした。俺もその隣に腰を下ろす。


間もなくして開始のアナウンスとともに、花火が夜空に大きく打ち上がった。

空気が冷えているせいか、花火の細かな光までくっきりと空に映る。


花火大会は小学校以来だ。中学の時はそれほど仲の良い友達もいなかったし、そもそも花火大会自体に興味がなかった。


だけど花火の音だけは俺の家にも聞こえていたんだよね。

間近で見ると、こんなにもきれいだったんだ。

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