ボーイズロード ―first season―
「わかってよ!ひとりになりたいの」

突然荒げた声は少し震えていた。顔を見た次の瞬間に、俺は衝動的に梅木のことを抱きしめていた。


それは一瞬だったのか、時間が経ったのかはわからない。

ふと我に返り、梅木の肩を離す。


ゆっくり顔を覗き込むと、やっぱり泣いてはいなかった。

でも頬には涙のあとが残っていた。俺まで切なくなって、親指でそっとそのあとを拭う。


大丈夫だなんて言っといて、やっぱり強がってたんじゃねえか。

「賢太くん……」


ちょうどそのとき花火が打ち上がった。

しばらく立ったまま、並んで見上げていた。

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