ボーイズロード ―first season―
石川は心強かったと言ってくれたけど、それは俺にとってはしっくりこなかった。漠然とした不安だけが心を占める。

前にあおちゃんが言っていた、俺が笑顔でいれば石川も笑顔になるって、その結果が今のお礼ってこと?


結局のところ石川は、自分の悩みを一人で解決しようとしている。

俺はこんなんじゃなくて、はっきりとした形で石川を守ってあげたい。もっともっと踏み込んで、石川の心の一番近くにいたいって思う。


石川が俺を頼ってくれないと、俺の方が不安になってしまう。


「どうしたの、若ちゃん?」

不安からなのか、ただ俺がそうしたかっただけかわからないけど、気がつくと石川の手を握っていた。


「石川が悩んでたこと知ってたよ。

俺、ずっと力になりたかった。なのに何をしていいのかわかんなくてさ。

だからお礼なんて言われてもピンとこない」


「……心配かけてごめん」

「俺、こんなんだけどさ、もっと頼ってよ」


次の瞬間に石川もまた、俺の手をきゅっと握り返してくれた。

< 321 / 406 >

この作品をシェア

pagetop