ボーイズロード ―first season―
しばらく手を繋いだままで花火を見ていた。

一回り小さな石川の手は、俺の手の中にすっぽりと収まってしまう。


その頼りないくらいの細い手が、さらにまた俺のことを切なくさせる。

たまらなく守ってあげたいって思ってしまうんだ。


前に一度だけ触れたことのある石川の手。今度はぎゅっと握っている。

石川がこの手を握り返してくれたことで、さっきまでの不安が一気にほどけていった。


石川、好きだよ。もうどうしようもないほどに。

心の中でただ繰り返す。


俺の気持ちは、ちゃんと伝わっているのかな。

こんなに大きくなってしまった想いを、自分自身の器にとどめておくことは苦しくてしょうがない。


強く想うことで、繋いだ手を通って相手に気持ちが伝わっていくといいのに。

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