ボーイズロード ―first season―
まあ、何も考えなかった俺も悪いんだよな。

よくよく考えると、土手の上にいたから目立つのは当然だったんだ。相手が梅木だとクラスのやつらにわからなかったことが、不幸中の幸いってところか。


「賢太くんの相手なんだけど、多分ねー、琢ちゃんショック受けるかもよ」

「なにそれ、もったいぶらずにさっさと言ってよ。めっちゃ気になるじゃん」

「あのね……」


ニーナが琢に耳打ちする。まったくおめーら、手を動かせよ。


「……え、まじで!?それは意外だね。賢太くん、付き合ってるの?」

「いや、まだだ」


……まだって何だよ。つい間抜けな返答をしてしまった。言ってから後悔する。


「なんでもいいんだけど、あおちゃん傷つけたら俺許さないからね。一応、部活の大事な仲間なんだからさ」


琢にはきっと梅木に対し、今言ったこの言葉以上の気持ちはないんだろうな。

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