ボーイズロード ―first season―
どうせ店も閉店だし、厨房使わなければ店にいても大丈夫だろう。店内のカウンターで弁当を広げる。

「え、すごいね。これ全部作ったの?」

「最近俺、弁当凝ってるんだ。普段も兄ちゃんの分と一緒に作ったりしてるよ」


俺が食材を買っているから、透からは当然その分のお金はもらう。金を払ってでも俺の弁当を食べたいって言ってくれるのが本当に自信になるんだよね。


「透さんだね」


小学校から一緒の茜は、透と面識はなくても顔くらいは知っているのだろう。

透派、隼派なんて言葉が女子の間で流行語となっていた頃もある。


「あ、唐揚げおいしい。

……ねえ、今だから言うけどさ、私は隼派だったよ」


うん。昔、茜の友達に聞いたことあった。

その事実に支えられて、ここまで茜を好きでいたんだから。

< 340 / 406 >

この作品をシェア

pagetop