ボーイズロード ―first season―
さやかはいつもの公園で待っていてくれた。俺を見つけて、軽く手を振る。

「あのさ、聞き間違いだったらごめん。どうしてもさっきの気になっちゃってさ……

さっき、ふられたって言った?」


「うん。なんかね先輩、彼女を一人に絞るんだって。こないだ花火一緒に見てた人とちゃんと付き合うって言ってたんだ」


さやかは開き直っているのか、あっけらかんとしている。俺はもっと深刻な問題だと思っていたから拍子抜けしてしまった。


「そのわりにはなんだか平気そうに見えるけど」

「まさか」


力なく笑うさやかを目の前にして、うまく慰める方法がわからなかった。

前みたいに肩とか抱けたらいいのに、今日の雰囲気はあの時とは違うし。


「ねえ琢哉、頭なでてよ」

「え?」

「落ち着くんだよね、あれ」

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