ボーイズロード ―first season―
「あのさ、違うんだ。ごめん。あたし琢哉の本当の気持ち、気づいてるよ」


俺の本当の気持ち……さやかが?


「あたし最低でしょ。それを知ってて琢哉のこと利用してた。

優しくされて居心地が良くて、それに甘えていたんだよね」


頭の中で一つずつ言葉の整理をする。俺がさやかのことを好きだって気づいているってこと?そんなのどうして……


「だけど利用していいって言ったのは、俺のほうからじゃん」


「ねえ、今から本当にひどいこと言うね。多分これを言ったら、琢哉に嫌われるけど……

でもあえて言う。あたし琢哉からいい加減離れないとならないから」


離れないとならないという言葉の意味が、理解できなかった。さやかからの次の言葉を待つ。

さやかはまっすぐ俺の目の奥を見つめてきた。それから胸を抑えながら目をつぶり、小さな深呼吸をした。

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