ボーイズロード ―first season―
少し歩いて、市営球場の建物の陰に入った。フェンスに挟まれて狭いけど、ここなら人に見られることがない。


「琢哉……?」


勢いのままに乱暴にキスをした。とっくに理性なんてものは吹っ飛んでいて、苛つきから目の前のさやかをめちゃめちゃにしてやりたいと思った。

だけどこれが俺の初めてのキスだったんだ。


さやかはその場にへたりこんだ。追いかけるようにして俺もしゃがみこみ、そしてまた無理やり口をふさぐ。


「離れないとならないって、部活はどうすんの」

「……琢哉が嫌なら辞める」


「ねえ、頭悪いんじゃないの?本当に俺と離れる気があるなら、黙っていなくなればいいでしょ。

好きだって言ってみたり、こうして俺のことそのまま受け入れたり……さやか、本当に最低じゃん」

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