ボーイズロード ―first season―
✽37章 はじまり
先週まで長袖を着ていたのが嘘みたいに、窓から入ってくる日差しが私の身体を照りつける。

暑いせいで体もだるい。寝苦しくて昨日の晩はあまり眠れなかったんだ。どうせ今日は日曜日だし、このまま一日中寝てようと思っていたのに。


「そしたら晴菜、悪いけどよろしくね」

「はぁい」


ごろんと寝返りをうちながら返事をする。しかたない、そろそろ起きるかな。


お兄ちゃんの野球部の試合が隣の市で行われる。この試合で負けたらお兄ちゃん達三年生は引退になるんだって。

両親が仕事で応援に行けないからって、私はビデオを撮ってくるように頼まれたんだ。


あー、めんどくさい。隣の市にある球場には、電車に乗らないといけないから尚更なんだよね。


それでも私は再来年に、この市内の高校を受験しようと思ってるんだ。高校に入ったら毎日この電車に乗るのかな。毎朝早起きしないとだめだよね。


中2の夏。すべての始まりがこの日だったんだ。

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