ボーイズロード ―first season―
そして若ちゃんは、私のことをいつも気にかけてくれていた。私が悩んでいることだってすぐに気がついて、とても心配してくれた。


実際に教室では、そんな若ちゃんの笑顔に何度も救われていたと思う。

彼がやわらかく笑うだけで、私の心の黒いかたまりが溶けていくようだった。


頭の隅には賢太くんのことがちらつきながらも、私は少しずつ若ちゃんに惹かれていったんだ。


花火を見るふりをして、横目で若ちゃんを忍び見る。

奥二重の目に長いまつげ。やわらかそうな髪の毛は、夏休みに入ってから短くなっている。


他の男子に比べて、一回り小さな若ちゃん。

だけどTシャツから出てる腕は思ったより筋肉がついている。彼が声を出すと同時に首の喉仏が上下する。


そしてその手は私の手なんかすっぽり包んでしまう。


なんか若ちゃんって男の子なんだよね。当たり前なのにそんな事を思っていた。

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