ボーイズロード ―first season―
予感はしていた。だけど実際に言葉で聞かされると、胸が締め付けられるように苦しい。

それが悟られることのないように、私は味のしないご飯を必死に口に運んでいた。


「そっか、付き合うの?」

「いや、急でちょっと混乱してて……」


あおちゃんはあの花火の日に、女の子と歩いている琢ちゃんを見た。

ショックを受けた彼女が一人になりたくて帰ろうとしたら、賢太くんに思いを告げられたということらしい。


「晴菜、どうしよう。琢ちゃんへの気持ちも、賢太くんからの気持ちも、全部ごちゃごちゃになっててつらいんだ」

「うん、あおちゃん、一回廊下に出よっか」


教室には賢太くんも琢ちゃんもいる。私は今にも泣きそうなあおちゃんを廊下に連れだして、誰もいない教室を探した。


心の中はずっと締め付けられたままなのに、結論はとっくに出ていたんだ。

私は誰よりもあおちゃんのことだけは失いたくないということ。


「大丈夫、賢太くんならあおちゃんのこと、きっと大事にしてくれるよ」

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