ボーイズロード ―first season―
部活が終わって私は教室に向かっていた。

いつもなら電車で帰るところだけど、今日はお母さんが買い物のついでに学校まで迎えに来てくれる。


だからそれまで教室で待つことにした。

9月に入り、曇り空のせいもあり七時になると外は暗かった。

もちろん教室の中だって真っ暗。


私は自分の席に向かわず、電気をつけないまま賢太くんの席に座った。

若ちゃんと付き合う前に、賢太くんへの気持ちは整理しないといけない。


賢太くんの席に座って見渡してみると、私の席は見える位置にはなかった。逆にここからあおちゃんの席はよく見える。


心にぽっかりと穴が開いてしまったのと同時に、ふと頭の中に浮かんだのはなぜか若ちゃんの笑顔で……


あれ、なんでだろ……

賢太くんよりも今は、若ちゃんにすごく会いたい。

今まで我慢していたものが涙となって溢れてしまった。


お母さんが迎えに来る前には泣き止まないとって思うのに、涙はもう止まることはなかった。

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