ボーイズロード ―first season―
しばらく二人とも黙っていたままで、時が過ぎるのを待っていた。

涙もいつの間にか止まっていた。


私の携帯が鳴り、お母さんから『着いたよ』のメール。


「若ちゃんありがとう。迎えきたから」

「うん……大丈夫?」


若ちゃんは、自分が傷ついた時でも私のことを一番に心配してくれている。私は大きく頷いて顔の近くでピースサインを作る。


「うん、もう泣かない」

「……それならよかった」


教室に若ちゃんを一人残して、私は教室を出て行く。この時の彼の表情は笑っていたのか、曇っていたのか覚えていない。


そして次の日には席替えがあって、若ちゃんとは席が離れてしまった。

前までに仲が良かったのが嘘みたいに、彼と話すことはなくなってしまったんだ。

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