ボーイズロード ―first season―
卒業式の会場設営のために、今日の部活はないとのこと。後輩たちは更衣室に置きっぱなしのシューズを取りにきたそうだ。


「先輩、高校でもバスケやるんですか?」

「んー、まだ考え中なんだよね」


とはいいつつも、高校では部活はしないと思う。学校が家より遠いし、青春時代に少しは遊んでおきたいのもあるし。


「放課後暇してるんなら、たまに東中学にも遊びに来てくださいね」

「何言ってんの。忙しいに決まってんじゃん。俺はお前らと違うんだよ」


……お返し、今日はもう仕方ないよね。


後輩へのお返しは保留のまま、とりあえず家へ帰ることにした。


明日は卒業、あさっては高校の合格発表だ。

それなのに北国の春はまだまだ遠い。卒業式っていったら、桜が満開になっているもんじゃないの?


雪が溶けかかり、ぐちゃぐちゃの道を歩く。まだスニーカーは早かったかな。


うわ、最悪。靴下悪臭警報が出ています。足の裏が超かゆい。

このビチョビチョの靴下、絶対母さんと妹になんか言われる。


そんなことよりさ、お返しなんだよ。あーもう、どうしよっかな。


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