ボーイズロード ―first season―
「あ、新入生代表じゃん!」

入学してから初めての体育の時間、ストレッチでペアを組んだ男子が、俺の顔を見るなりそう呼んだ。


彼の名前は若月くん。俺と同じ東中の出身だ。

彼とは中学の頃はクラスが一緒になることはなかったが、バスケ部で目立っていたから、俺でも名前は知っていた。


いつも周りには友達がいて、羨ましく思ったことも何度かある。


「ねえ、新入生代表って東中だよね?俺のことわかる?3組だったんだけど!」

「知ってるよ。若月くんだよね?あと、新入生代表って呼び方はちょっと……」


「ごめんごめん。楠木くんだよね。楠木って言いにくいし、琢ちゃんって呼んでもいいしょ?今度俺に勉強教えてよ」


俺のこと、下の名前まで知っててくれたんだ。

琢ちゃんなんて呼ばれたことないから恥ずかしいけど。

「楠木、若月!私語が多いぞ!」


先生に注意されることなんて生まれて初めて。

それがなんだか新鮮で、意外と悪くないなとも思ったんだ。

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