ボーイズロード ―first season―
小学5年生の調理実習があった日に、俺は風邪を引いて学校を休んだんだ。
その日の夕方、家のインターホンが鳴ったと思ったら、母さんは部屋で寝てる俺を玄関に呼び出した。
パジャマのまま玄関に出ていくと、そこには茜がいたんだ。さすがに俺もちょっとだけびっくりしたけど。
「学校のプリントと、これ少しだけどニーナの分」
そう言いながら、ラップに包まれた小さなパウンドケーキをランドセルから出した。
「茜ちゃん、寒いのにわざわざありがとう。隼も明日は学校に行けそうよ」
ケーキを受け取るとほんのりとうれしくて、思わず顔が緩んでしまった。
いや、笑っちゃだめだ。ごまかさないと。
「……俺、ブスが作ったものなんて食えねえよ」
言ってから、はっとしたがもう遅かった。茜は目を丸くしてからうつむいた。
「隼!なんてこというの!わざわざきてくれたのに。
……ごめんね、茜ちゃん」
「私だけじゃなくて、班の皆で作ったの。だからまずくないから……」
その言葉の終わりはずいぶんか細くて、あまり聞き取ることはできなかった。
当然、その後は母さんにこっぴどく叱られた。
わかってるし、俺だって言いたくて言ったわけじゃねーし。
そうだよ。ほんとは嬉しかったんだ。
その日の夕方、家のインターホンが鳴ったと思ったら、母さんは部屋で寝てる俺を玄関に呼び出した。
パジャマのまま玄関に出ていくと、そこには茜がいたんだ。さすがに俺もちょっとだけびっくりしたけど。
「学校のプリントと、これ少しだけどニーナの分」
そう言いながら、ラップに包まれた小さなパウンドケーキをランドセルから出した。
「茜ちゃん、寒いのにわざわざありがとう。隼も明日は学校に行けそうよ」
ケーキを受け取るとほんのりとうれしくて、思わず顔が緩んでしまった。
いや、笑っちゃだめだ。ごまかさないと。
「……俺、ブスが作ったものなんて食えねえよ」
言ってから、はっとしたがもう遅かった。茜は目を丸くしてからうつむいた。
「隼!なんてこというの!わざわざきてくれたのに。
……ごめんね、茜ちゃん」
「私だけじゃなくて、班の皆で作ったの。だからまずくないから……」
その言葉の終わりはずいぶんか細くて、あまり聞き取ることはできなかった。
当然、その後は母さんにこっぴどく叱られた。
わかってるし、俺だって言いたくて言ったわけじゃねーし。
そうだよ。ほんとは嬉しかったんだ。