ボーイズロード ―first season―
中学の頃野球部を退部するまでは、俺もそれなりに人間関係を築いていたつもりだ。

一応女だって、二人と付き合ったことがある。

「好きな人と付き合うってどんな感じ?」

「いや、今思うとめんどくさかっただけだ」


あの頃は、俺だってどうしていいかわからなかったんだ。

二人とも付き合ってすぐだめになった。


『渡部くん、私のことほんとに好きなの?』


どちらの女にもそんなことを言われた。

だけどそういう気持ちって伝えるものではなく、伝わるものだと思っているし。

むしろどうしてわかってもらえなかったんだろう。


確かに言葉は足りなかったかもしれないけど、一緒にいる時間はたくさん作ったと思っていたのに。

俺は一緒にいるだけでいいと思っていたけど、知らず知らずの間に彼女のことを不安にさせていたみたいだった。

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