rain
しばらく雨にうたれていた二人
先に口を開いたのは暁だった
「ごめん…」
「…何で謝るの?」
いつも誤魔化すように謝るから、暁の口から真面目に“ごめん”なんて言葉聞いたことなくて
それは照れ屋な暁がみせる私へのひとつの愛情表現で
だから初めて聞いた”ごめん“に心があったかくなって涙が溢れた
暁の心の声を、私はたった一言の“ごめん”で
やっぱり好きなんだと、諦めきれないんだとわかった
「…これ」
「…え?」
「貴子に、…だから、えっと」
照れてるのか横を向いた暁が差し出したそれは、赤いリボンで結んだ小さな箱だった