rain
下に着くと、エントランスの外に貴子の姿があった
貴子の姿に驚いた
ずぶ濡れで立っていて、手には俺の黒い傘を開かずに持っていた
「何やってんだよ!! バカかお前は!!」
「………」
「とりあえず、部屋に入って… それじゃ風邪ひく」
と、口にして思いだした
今、部屋にアイツがいるんだった
黙り込んだ俺に、貴子は傘を差し出してきて
「私かあの子か… どちらかに決めて?」
今まで見たことのない、悲しい顔をして
俺にそう言った