フレッシュ! 学園のアイドル!
 絢香は立ち止まり、芽琉香の方に視線をやった。

「一ヶ月前のステージでは歌も踊りもサッパリだった上、緊張のあまりコケてしまった。芽琉香はその恥ずかしさと悔しさをバネに猛特訓して来たらしいから。琉瑠奈から出ないでって言われてもくじけずにね」
「何があのコの思いを振るい立たせたの?」
「試してみたいからだよ」
「試してみたいから?」
「地味で何も取り柄も無い自分だから、コンテストに出て自分を試してみたいって芽琉香は言っていたみたい」
「自分の可能性を引き出したってワケね?」
「だから、あのコはステージで頑張ったんだと思う。今、とても輝いているし」
「そうね、輝いているよね?」

 確かに絢香の言う通りだと北澤さんは思った。
 芽琉香は努力し、自分を越えた事を強く認識するのだった。

「芽琉香はステキな女のコだよ」と言って絢香は人の輪の中へ入って行った。

 北澤さんは何も言わず、どこかへと去って行く。
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