フレッシュ! 学園のアイドル!
 この時だ。

「芽琉香、どこに行くの?」

 何も言わず立ち去る芽琉香を、美穂が追いかけ始めた。

 うーん?
 何か有ったのかな?
 私も後を追ってみる。

 芽琉香は玄関の所で立ち止まると、近くに放置してあった椅子を蹴飛ばしてしまった。
 何だか気が荒くなっているみたい。美穂が話しかける。

「どうしたの? 急に帰るとか言い出して」

 一呼吸し、気持ちを落ち着かせた芽琉香。

「ちょっとね」

 ちょっと無表情の芽琉香を、美穂も私もジッと注目した。

「北澤さんの練習を見て、ショックでも受けた?」
「…」

 視線をそらしたまま、芽琉香は何も返事しなかった。

「どうなの?」
「…」
「芽琉香」
「…」

 目をそらし固い表情の芽琉香。

「芽琉香!」と美穂は強い口調。
「まあね」
「自分が思っていた以上に、北澤さんのレベルが高いって事を認識しているんだ?」
「思いたくはないけど…」
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