HEAD/phones~ヘッド・フォン~
女は先程とは逆に後退していった。陽助の前には女の右腕が残されている。
『お前は、存在してはいけない』
陽助は刀のような鋭い刃物を握っている。
女苦痛で顔が歪んでいた。今や片方しかない腕の為、うまくバランスが取れずにふらついている。
『俺が、存在を消してやる』
陽助は刃物を手から離し、ゆっくりと女の方へ近づいていく。
「来るな!」
女は顔を歪ませ横に振る。
『…消してやる』
女との距離が徐々に縮まる。
「…来るな…私は、この世界から出るんだ…そして」
いつの間にか女の黒い涙は止まっていた。その代わり右目からは透明な涙が流れ出している。
『俺と一緒に行こう』
陽助は女の体を抱きしめた。
「…どうしてだ?…どうして私だけがこんなに孤独なんだ?…一人は嫌だ。独りぼっちは嫌だ!」
『だから、俺と行こう。この世界から出よう』
陽助は抱きしめている手を女のヘッドフォンに伸ばし外そうとしたが、その手は途中で止まった。
『お前は、存在してはいけない』
陽助は刀のような鋭い刃物を握っている。
女苦痛で顔が歪んでいた。今や片方しかない腕の為、うまくバランスが取れずにふらついている。
『俺が、存在を消してやる』
陽助は刃物を手から離し、ゆっくりと女の方へ近づいていく。
「来るな!」
女は顔を歪ませ横に振る。
『…消してやる』
女との距離が徐々に縮まる。
「…来るな…私は、この世界から出るんだ…そして」
いつの間にか女の黒い涙は止まっていた。その代わり右目からは透明な涙が流れ出している。
『俺と一緒に行こう』
陽助は女の体を抱きしめた。
「…どうしてだ?…どうして私だけがこんなに孤独なんだ?…一人は嫌だ。独りぼっちは嫌だ!」
『だから、俺と行こう。この世界から出よう』
陽助は抱きしめている手を女のヘッドフォンに伸ばし外そうとしたが、その手は途中で止まった。