HEAD/phones~ヘッド・フォン~

男は一度、後ろを振り返った。暗闇の中にあいつの姿はない。それでもすぐ近くに気配を感じる。首筋にあいつの息を、足に絡み付くあいつの手を感じる。けれど、それは全部幻だ。本当は存在してないんだ。あいつも、ここも。
いや、分からない。でも、おそらくそうだろう。そうでなければならない。

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