HEAD/phones~ヘッド・フォン~
「チョコレートにスナック菓子にジュースにスナック菓子にチョコレートに……っておい!ほとんどおやつばっかじゃん!」

ノブオは車の後ろに積んであったビニール袋をあさっていた。

「食料担当は誰だよ!」

「…はい、僕です…あの…何買っていいか分からなくて」

陽助はずっとうつむいたままだ。

「キャンプっつったら大体分かるだろ!遠足じゃねぇんだからよ!」

ノブオは空腹のせいもあって苛立っていた。

「落ち着けよ。よく考えてみろ。ここには包丁も鍋も何もないんだぞ?食料をどうやって料理する気だったんだ?」

「…言われてみれば、そうだけどよ」

「とりあえず、これで済ますか」

健太郎はビニール袋の中からカップラーメンを取り出してノブオに差し出すと、仕方ないといった様子で渋々それを受け取った。

「でもさ、お湯はどうすんだ?」

「働かざる者食うべからず!木の枝や枯れ葉を集めて燃やせばなんとかなるだろ?」

健太郎はノブオの真似をしてニヤリと笑う。

「マジかよ?でも、どうやって沸かすんだよ」

ノブオはミネラルウォーターをがぶ飲みする。

「おい!水は大切に飲んでくれ」

「分かったから。で、どうすんだ?」

「秘密兵器」

健太郎は車の中から大きめのバッグを引っ張り、その中からやかんも取り出した。

「すげぇ!」

それを見てノブオは大袈裟に驚いた。

「とりあえず持ってきたんだけど、まさかこんな所で使う事になるとは思わなかったよ」

「すごいですねぇ」

陽助も顔を上げて感心している。

「なんだそれ?」

優は話を聞いていなかったのか、本をあさりながら顔を向けた。

「ほらほら、みんな急いで火起こし火起こし。働かざる者食うべからず」

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