HEAD/phones~ヘッド・フォン~
太めの枝を水で濡らし、それにやかんの取っ手を引っかけ炎の上に置いた。そして、二人ずつ交代で枝を持ち替えて沸くのを待った。

「ほんとにこれで沸くのか?結構疲れるな」

「ちゃんと持って。水がこぼれる」

「陽助、代わってくれ!」
「ったく、しょうがないな」

「あー、腕こわった」

しばらくすると、やかんの口から勢いよく湯気が吹き出してきた。

「今はいいけどさ、夜になったら結構冷え込みそうじゃない?」

健太郎はカップラーメンをすすりながら心配を口にした。

「そうだな…って、お前ここで野宿する気か?まだ時間あんだからさぁ」

「ガソリンはないけどね」

「あのな、それ言うか?」

「もっと言うなら地図もないけど」

「あの…ちょっとトイレに行ってきます」

陽助は小さな声でそう言うと、気まずそうに道路脇へと駆けて行った。

「そう言えば、森で迷う映画ってなかったか?」

「話そらすなよ」

「別にそんなんじゃねーよ」

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