HEAD/phones~ヘッド・フォン~
陽助は木の陰に入った。手には立て札の所で拾ったヘッドフォンを持っている。見た目はなんでもないただのヘッドフォンなのに、不思議と人の気のようなものを感じる。これを落とした、もしくは捨てた持ち主のものだろうか?触れている部分が生温かくなってきた。まるで生命が入った卵のようだ。見つめていると、その鼓動を聞きたい衝動にかられる。何も聞こえない事は分かっているのだが、陽助はゆっくりと耳に近づけた。すると、いきなり背後から人の手が伸びてきて陽助の手からヘッドフォンを奪い取った。陽助が驚き振り向くと、そこには優の姿があった。
「何これ?」
優は不思議そうにヘッドフォンを見つめている。その様子を見て陽助はハラハラしていた。
「どうしたんだ、これ」
何も言わない陽助にもう一度聞く。
「…あの…拾ったんです」
陽助はなぜか後ろめたい気持ちになっていた。
「ふ~ん」
優は陽助に返そうとしたが、しばらく見ているうちに陽助と同じように音を聞きたい衝動にかられ
「あっ」
それを感じた陽助は小さく声を上げたが、それを無視して優はヘッドフォンを耳に当てた。すると、頭全体に吸い付くような感触で、温もりとともに耳に何かの圧力がかかった。
陽助の口がゆっくり動いているが何も聞こえない。やがて、完全に閉じられた耳の奥でなにやら音が聞こえてきた。優は目を閉じてその音に集中する。そして、次第に音は大きくなる。
「何これ?」
優は不思議そうにヘッドフォンを見つめている。その様子を見て陽助はハラハラしていた。
「どうしたんだ、これ」
何も言わない陽助にもう一度聞く。
「…あの…拾ったんです」
陽助はなぜか後ろめたい気持ちになっていた。
「ふ~ん」
優は陽助に返そうとしたが、しばらく見ているうちに陽助と同じように音を聞きたい衝動にかられ
「あっ」
それを感じた陽助は小さく声を上げたが、それを無視して優はヘッドフォンを耳に当てた。すると、頭全体に吸い付くような感触で、温もりとともに耳に何かの圧力がかかった。
陽助の口がゆっくり動いているが何も聞こえない。やがて、完全に閉じられた耳の奥でなにやら音が聞こえてきた。優は目を閉じてその音に集中する。そして、次第に音は大きくなる。