HEAD/phones~ヘッド・フォン~
「むやみに動き回ってもガソリン減るだけだもんな…どうしよう」

「意外に、もうキャンプ場内だったりして」

「お前はほんとポジティブだよな」

「そうか?」

「言い方変えればただの能天気だけど」

「なんだよそれ」

「言葉通りだよ」

「お前なー、人をバカにするのもいい加減にしろよな」

「別にバカになんてしてないだろ。ただ、幸せな奴だなぁと」

「それがバカにしてんだよ!」

「陽ちゃん、どうかした?さっきから元気ないみたいだけど」

「あ、いや…大丈夫です」

「お前、話変えるなよ」

「そういや、優は?」

「おい!これじゃ俺がバカみたいじゃねーか!」

「あっ、いた」

優は陽助と同じ方向からゆっくりと歩いて来た。

「クッソー!あー!もー!行くぞー!優!」

ノブオが呼びかけるが返事がない。しかし、優の場合は大抵それが常だったので、さして気にもしなかった。

優は黙っていた。誰にも言わなかった。聞こえるはずもないのに、人の声が聞こえてきたなんて…。

---俺がおかしいのか?

自分でも理解出来ない事を他の奴等が理解出来るわけがない、優はそう思った。

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