HEAD/phones~ヘッド・フォン~

「おい、お前後で教室来い」

不良グループのリーダーが、食堂で健太郎の耳元に囁く。
二年に上がると、健太郎に対する暴力は一層残酷なものになっていった。健太郎からは抵抗しようとする気力も体力も完全に失われ、言われるまま、成されるがままにしていた。

---どこで僕は間違ったのだろう?どこで?

そんな問いかけも今では何の意味もない事が分かり、考えないようにしていた。
言われた通りに教室へ行くと、みんなは黙って健太郎の方を見た。それはとても冷たく悲しい視線だった。
そして、次第に人数は減り、いつものように教室には健太郎だけが取り残された。やがて、それを見計らったように不良グループが入って来る。

「今日はお前いく?」

「どうしよっかな~」

「じゃあ、俺先いこうか?」

「待て、俺がいく」

そんな意味のない順番決めの後、健太郎は殴られる。
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