HEAD/phones~ヘッド・フォン~

ノブオは女からヘッドフォンを受け取る。そして、女の言った言葉を考えた。

迷いがなくなる?迷いとは何だ?俺は何に迷っているんだ??

ノブオはその考えに蓋をするように、ヘッドフォンを耳にあてた。
ひんやりと冷たい感触の後、目の前が一瞬暗くなり何も見えなくなった。
そして、ノブオはそのままベッドに倒れた。開かれた眼球が素早く動き回っている。やがて何度か痙攣するうちに、ノブオの動きは停止した。

「行ったのね」

女はノブオの目を見つめ確認するように言った。

ノブオは流れる光の中にいた。まるでタイムスリップしているような光景だ。時々押し潰されそうな息苦しさを感じながらノブオは流されていく。
やがて光が止まると、今度は下に落ちていくような感じがして背中がゾクゾクした。しかし、嫌な感じはしない。
そして、バランスを崩して上下逆さまになったノブオが辿り着いた場所は、なんと広大な宇宙であった。

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