HEAD/phones~ヘッド・フォン~
『あっ』
ノブオは声を上げた。巨大な岩は先程見とれていた青く美しい星へと向かっていく。
『あっ!』
岩は地球に吸い寄せられるようにスピードを増していく。
『あーー!!』
ノブオの声は大きくなっていた。
『だめだ!ぶつかる!!』
そう叫んだ。しかし、岩は確実に向かっていく。そして、地球と岩が重なった瞬間、太陽のように眩しい輝きを放った。
『……………』
やがて、地球は静かに押し潰されていく。
ノブオは声が出なかった。呆気に取られているノブオを無視して地球の破壊は続いていく。地球は衝撃で少し傾いたように見える。先程ノブオの前を通過していった岩は、今や地球と一体化してめり込んでいる。
その様子を見ていたノブオの周りが少し揺れた。そして、次の瞬間地球は大爆発を起こした。
爆発の衝撃が光の線となって暗い宇宙に放たれる。音もなく静かな爆発はなんとも美しいものだった。花火を間近で見たような、そんな感じがした。
ノブオが呆然とその光景に見とれていると、また声が聞こえてきた。
「これは遠い昔の出来事」
しかし、その言葉は今のノブオには届かなかった。当然その言葉の意味も分かってはいない。